三朝温泉一泊記
朝目覚めたとき、ふと「温泉行きたい、、、」そう思った。
せっかくなら三朝温泉まで足を運ぼう、そのままフラっと伯耆倉吉へ
一人生活圏から遠く離れたところへ。なにも考えずに一日でもいいから過ごしたい。そう思うようになっていたところに二連休。すぐ逃げた。
しかし、乗ろうと思っていた倉吉ゆきの特急スーパーはくとは間に合わず、だらだらと一日中電車に揺られ、休みを無駄する。
鳥取県に入る前に日が暮れた。鳥取駅からの帰宅ラッシュの満員電車に巻き込まれた。とことんついてない、そう思った。(計画性のなさは常。)
学生が大勢乗っている。幸せそうでいいな。学生服を見ただけでそう思えるくらいには負の感情でいっぱいだった。
三朝温泉についたのは21時。
なんでこんなに一日無駄にしちゃうのかなあ。自分ってばかだなあ。そう思いながらチェックインを済ました。
今回はたまたま予約できた依山楼(いざんろう)岩崎という宿にお世話になった。あとから調べて気づいたが大正時代には島崎藤村など文豪が泊まったこともあるという歴史ある旅館だった。歴史好きなのでうれしい。
そもそも三朝温泉は歴史が長く、この温泉は平安時代が由来とされている。白狼伝説といって、ある武士が年老いた白い狼を弓で射そうになったが見逃した。その狼は神様の狼だったらしく、神様がお礼に温泉の場所をお告げしたことが由来らしい。
山陰地方は土地柄たくさん伝説がありそうだが、白兎伝説しか知らなかった僕にとっては非常に新鮮で、そんな伝説の地にいることがうれしかった。
4階の客席に向かう。
一人で旅館なんて、、、客室を目にした瞬間そう思った。
予約したときにわかってただろ。
だが現実逃避したい自分にはぴったりだった。
静けさの中から唯一聞こえる三徳川の川音、肌感覚でもわかる泉質の良い温泉、そして独り占めできる客室。時間の流れが急激に遅くなった。
大浴場は内湯が一つ、露天が二つあった。正直どれも入りやすい。三朝温泉はラドン温泉といって自然治癒力や免疫力を高める効能がある放射泉らしい。僕は異常なほど皮膚が弱いせいか湯から上がった際体中がズキズキし、かゆくなってくるのだがここの温泉はそうならなかった。正直いろいろな温泉に行っているが初めてだ。これだけでまた来よう、そう思えた。
露天風呂は一つが投入堂を模したのかわからないが洞窟状になっているもので、そこがびっくりするくらい気持ちよかった。大浴場の案内板に長湯はしないほうがいいと書いてあったが気づけば長湯になっていた。すぐ出るのは非常に困難だ。
湯の冷めぬうちに布団に入る。時間の流れはさらに遅くなる。
永遠に続けばいいのに。